道路工事における安全対策の重要性は?事故を防ぐための4つのポイントやほかの工事との対策の違いについても解説

道路工事における安全対策の重要性は?事故を防ぐための4つのポイントやほかの工事との対策の違いについても解説

道路工事は、作業の危険度とともに事故が起きやすい環境でもあります。「あの工事現場はどのような安全対策をしているのだろう」と疑問に思ったことはありませんか?

この記事では、道路工事における安全対策の重要性から事故を防ぐための4つのポイント、ほかの工事との対策の違いについて解説しています。道路工事における安全対策を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。


道路工事における安全対策の重要性とは?

道路工事における安全対策の重要性とは?

道路工事においては、安全対策が非常に重要です。道路の建設や改修は多くの人々が利用する交通インフラであるため、事故を防ぐためにも工事現場での安全確保は欠かせません。

まず、作業員の安全を確保するために適切な作業環境を整えましょう。作業場所には市民が入れないようにバリケードや安全フェンスを設置し、工事現場への不用意な侵入を防ぎます。また、作業員には安全装備の着用を徹底させ、必要な訓練を実施することも大切です。

次に、交通安全にも配慮する必要があります。道路工事が行われる場所では、通行者に対して十分な注意喚起を行い、迂回路や交通規制の案内をします。工事現場周辺の歩道や自転車道も安全確保が必要です。トラフィックコントロールを行い、通行者や車両が安全に通行できるようにすることが重要です。

さらに、作業中の資材や機械類の適切な管理も欠かせません。資材などが現場内で乱雑に配置されていると、作業員だけでなく通行者が危険に晒され、一般市民からの心象も悪くなります。そのため、道路工事においては適切な保管場所や整理整頓を徹底する必要があります。


道路工事で発生する主な事故

道路工事で発生する主な事故

道路工事で発生する主な事故には、以下の3つが挙げられます。

  1. 作業車両との接触
  2. 作業員と乗用車の接触
  3. 高速道路における接触

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.作業車両との接触

一般道での道路工事では、交通誘導員や進入禁止の看板を設置して、通行人が誤って工事現場に侵入しないように注意しています。

しかし、誤って現場に侵入してしまうことや、誘導中の作業車が通行人に気づかず接触する事故は後を絶ちません。これらの事故を防ぐためには、以下の対策が必要です。

まず、誘導員の適切な配置です。工事現場の要所に交通誘導員を配置し、通行人の安全を確保しましょう。

次に、誘導方法の確認をします。誘導員に適切な誘導方法を指導し、効果的な交通整理をする必要があります。

そして、検知装置の設置も重要です。通行人や車両を検知する装置を配置し、危険を未然に防ぐ対策を強化しましょう。


2.作業員と乗用車の接触

一般道で道路工事を行う場合、作業員の安全を確保することが重要です。以下の対策を行い、作業員と乗用車の接触事故を防ぎましょう。

まずは作業箇所と通行箇所の距離を確保することです。作業場所と通行箇所の間に十分な距離を設け、安全を確保します。

次に、交通整理員の配置をしましょう。交通整理員を配置し、通行車両の誘導を行います。そして、視認性の向上も有効です。工事箇所を遠くからでも認識できるよう、標識や照明を設置してください。

しかし、どんなに気をつけていても、現場の事故は起きてしまいます。実際に起きた接触事故の一例として、以下をご紹介します。

  • 道路工事に伴う交通整理をしていた警備員が進行してきた乗用車に接触
  • 道路工事現場に乗用車が突っ込み、作業員に衝突

いずれも、作業員と一般の乗用車との事故です。事故の確率を減らすためにも、安全対策は徹底して実施しましょう。


3.高速道路における接触

高速道路では、一般車と作業員の接触事故が頻発しています。車線規制を行っていても作業エリアに一般車が突入する事故が絶えません。NEXCO中日本管内では、2018年度に以下の事故件数が報告されています。

  • 物損事故:145件
  • 作業員の負傷事故:3件
  • 死亡事故:1件

これらの事故を防ぐためには、以下の対策が求められます。

対策

内容

車線規制の徹底

明確な車線規制を行い、作業エリアへの進入を防止

視認性の向上

工事区域を明確に表示し、ドライバーに注意を促す

検知装置の設置

高速道路上における検知装置を活用し、早期に異常を察知して対応する


これらの対策を徹底することで、作業員や通行者の安全を確保し、事故を未然に防ぐことが可能です。


道路工事の安全性を高める3つの要素

道路工事の安全性を高める3つの要素

道路工事の安全性を高める要素には、以下の3つが挙げられます。

  1. 事前調査
  2. 作業環境の確保
  3. 周辺環境の整備

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.事前調査

土木工事における安全基準は非常に重要です。そのためにはまず、土木工事する前の事前調査を実施します。現地の状況を詳細に調査し、地盤の安定性や周囲の環境に問題がないかを確認する工程です。

調査のほかにも、施工中は作業現場を明確に区分し、立入禁止区域を設定することで、通行者や近隣住民の安全を確保します。


2.作業環境の確保

次に、作業環境を確保する必要があります。危険箇所には一般市民が立ち入らないよう、適切なバリケードや警告標識を設置して警戒を喚起しましょう。

工事車両や重機の運転もとくに注意が必要です。運転手は事前に安全教育を受け、定期的な点検と整備をすることが求められます。

また、作業員も安全な作業環境を確保するために、適切な保護具の着用や手順の遵守が必要です。工事現場では適切な監督体制を整え、監督者が現場の状況を適切に把握し、安全基準を徹底する責任を持ちます。


3.周辺環境の整備

土木工事の完了後も安全を確保するために、周囲の環境を適切に整備し、標識や信号などを設置することが重要です。

安全基準は土木工事において大きな役割を果たし、これらの基準を遵守することで安全な道路を作り上げることが求められます。


道路工事での事故を防ぐための4つのポイント

道路工事での事故を防ぐための4つのポイント

道路工事での事故を防ぐためのポイントには、以下の4つが挙げられます。

  1. 安全意識の向上を図る
  2. 定期的な点検を実施する
  3. 気象状況に応じた対策を検討しておく
  4. 自然災害対策にも備える

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.安全意識の向上を図る

工事現場で働く作業員の安全意識低下は、重大な事故に繋がる要因となります。そのため、事故発生を防ぐためには作業員の安全意識を高めることが重要です。

定期的な安全講習を開催し、事故事例を共有することで、作業員の安全意識を向上させる環境づくりをしましょう。また、危険箇所には注意喚起を促すステッカーを貼り、危険を見える化することも効果的です。

さらに、事故や災害を未然に防ぐために、危険予知訓練(KYT)を実施することも有効です。KYTでは、現場や作業工程に潜む危険とその原因を予測し、対策案を考えます。これにより、作業員全員が危険要因についての共通認識を持ち、危険回避能力を向上させられます。


2.定期的な点検を実施する

工事現場で使用する機器の定期点検も、事故防止につながります。点検を怠ると、機器の故障や誤作動が発生し、作業員を巻き込む事故に発展する可能性があります。したがって、使用する機器は定期的に点検し、部品の劣化や故障を早期に発見することが重要です。

定期的な点検をすることで機器の最適な状態を保ち、誤作動のリスクを減らせます。これにより、事故防止に繋がり、安全な作業環境を維持することが可能です。


3.気象状況に応じた対策を検討しておく

屋外作業が多い工事現場では、気象状況に応じた対策が必要です。たとえば、台風や強風の際には足場が倒壊する危険性が高まります。足場の補強や、周囲に張られたメッシュシートを畳むなどの事前対策をすることで、被害を最小限に抑えられます。

また、資材が強風によって吹き飛ばされる恐れもあるため、立てかけてある資材を寝かせたり、安全な場所に移動させるなどの飛散対策も重要です。

近年は異常気象が頻発しているため、日頃から気象情報を確認する習慣を身につけることが推奨されます。これにより、突然の気象変動にも迅速に対応できるようになります。


4.自然災害対策にも備える

地震や津波、火山噴火などの自然災害は予測不能であり、常に備えておく必要があります。とくに近年では、南海トラフ地震の発生が予測され、その切迫性が高まっています。このような自然災害に備え、工事現場の安全を確保し、被害の拡大を防ぐために以下の対策をしましょう。

対策

内容

建設機材の転倒防止

機材の固定や転倒防止措置

工事箇所の崩壊防止

工事現場の構造物が崩壊しないように補強する

避難場所と避難経路の確保・確認

避難場所と避難経路を確保し、定期的に確認する


上記の対策を徹底することで、自然災害時のリスクを最小限に抑え、作業員の安全を確保します。日常的に防災意識を高め、対策を講じることが重要です。


道路工事とほかの工事における安全対策の違い

道路工事とほかの工事における安全対策の違い

ビルや住宅の建築などの一般工事と道路工事では、安全対策に違いがあります。道路工事と他の工事の安全対策に対する考え方や異なる点について解説します。

道路工事の場合、以下の安全対策が必要になります。

  • 誘導員の配置
  • 一般車両の規制
  • 交通整理
  • 工事がわかりやすいように掲示板などを設置
  • 作業車の防護用配置
  • 安全管理の重要性を周知徹底
  • 作業員の健康状態を常に確認
  • 各種保護具の着用

ほかの工事の場合、以下の安全対策が必要になります。

  • 誘導員の配置
  • 作業車が出入りの際に誘導
  • 安全管理の重要性を周知徹底
  • 作業員の健康状態を常に確認
  • 各種保護義具の着用

まとめ

まとめ

道路工事における安全対策の重要性から事故を防ぐための4つのポイント、ほかの工事との対策の違いについて解説しました。

安全性を高めるためには、事前調査・作業環境の確保・周辺環境の整備の3つがポイントになります。

しかし、気の緩みや体調の悪化、不十分な安全対策など、思わぬ形で事故は発生してしまいます。安全対策は、作業員一人ひとりの意識がけが何より大切です。この機会に、現場の安全性について今一度考えてみてください。

一覧に戻る