道路工事における苦情対応の重要性とは?主な原因から事前対応、苦情が発生した場合の対処法まで詳しく解説

道路工事における苦情対応の重要性とは?主な原因から事前対応、苦情が発生した場合の対処法まで詳しく解説

道路工事では、騒音や交通規制の影響により、苦情が出るかもしれません。その際に、適切な苦情対応を知っておくことがクレームの回避・軽減には必要です。

この記事では、苦情対応の重要性から苦情となる主な原因、事前対応から対処法まで詳しく解説しています。道路工事での苦情を減らしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。


道路工事における苦情対応の重要性は?

道路工事における苦情対応の重要性は?

道路工事の必要性は事業者にとって当然ですが、住人にはその意義が伝わりにくいことがあります。そのため、住人に対して積極的に情報を提供し、イメージアップを図ることが重要です。聞かれた時に答えるだけでなく、こちらから積極的にアピールする姿勢が求められます。

たとえば、排水性舗装に更新する工事では、雨の日に水たまりができなくなり、自動車による水はねも防げることを知らせるとよいでしょう。立て看板や作業ベストの背中に、このような利点をわかりやすく表示するだけでも、住人の理解と協力を得る助けになります。

近年の工事説明看板には、挨拶文や工事の目的、期間、内容、連絡先などが記載されていますが、これに加えて仮囲いにイラストを交えた工事内容とその意義の表示をすると、住人からの理解が深まるでしょう。

こうした対応を通じて、住民の信頼と協力を得ることが可能です。工事中のストレスを軽減し、良好な関係を築くことで、工事を円滑に進められます。


道路工事に起因する苦情の3つの大きな原因

道路工事に起因する苦情の3つの大きな原因

道路工事に起因する苦情の大きな原因には、以下の3つが挙げられます。

  1. 騒音や振動
  2. 交通規制および通行制限
  3. 埃やチリなどの環境要因

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.騒音や振動

工事現場における騒音や振動の主な原因は、建物の解体作業です。重機にブレーカや圧砕機を取り付けてコンクリート材や木材で作られた建物を壊す際、重機の運転による騒音や振動が発生します。また、解体したガレキが地面に落ちる際にも大きな音と振動が発生します。

さらに、工事現場では多くの重い建設資材が使用されるため、それを運ぶために建設機械が必要です。これらの大型機械の移動や操作自体が騒音や振動の原因となります。したがって、これらの機械の取り扱いには十分な注意が必要です。


2.交通規制および通行制限

工事現場では、通行人に対する交通規制や通行制限が必要となることが多いです。通行人には、歩行者、自転車・バイクの運転手、車の運転手などさまざまなケースがあり、現場の特性によって通行人との関わりの頻度が異なります。

とくに道路や電線、建物の工事に伴う交通誘導は、通行人との関わりが最も多くなる場面です。通行人の安全確保と工事の安全・円滑な遂行のためには、交通誘導員の存在が欠かせません。

通行を一時的に停止させる必要があるため、歩行者やドライバーとのクレームやトラブルが発生しやすいポイントです。


3.埃やチリなどの環境要因

工事の際に発生する埃やチリなどが舞い上がり、人的な被害を及ぼすことも見逃せません。アスファルトに関連する工事では、とくに注意が必要です。アメリカのイェール大学の研究チームによる研究では、夏場の高温になったアスファルトが大気汚染物質を排出することが明らかになりました。この研究は、科学誌「Science Advances」で発表されたものです。

この研究によると、アスファルト舗装が喘息や公害病の原因となる粒子状物質の一部である「二次有機エアゾル」の発生源であることが示されました。

この汚染物質の排出量は天気や気温によって変動し、夏場に気温が高く日差しが強いほど排出量が増加します。そのため、アスファルト舗装の多い都市部では、暑い夏場により多くの汚染物質が排出されていると考えられます。


苦情を防ぐための事前対応は3つ

苦情を防ぐための事前対応は3つ

苦情を防ぐための事前対応には、以下の3つが挙げられます。

  1. 地域住民とのコミュニケーションを図る
  2. 交通規制を最小化する
  3. 騒音や振動を抑える

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.地域住民とのコミュニケーションを図る

道路工事は住民の生活に大きな影響を与えるため、地域住民とのコミュニケーションを強化することが重要です。工事に関連する情報を正確かつ迅速に伝え、住民のニーズに応えることが求められます。これを怠ると、住民からのクレームが増え、工事の開始が遅れたり、最悪の場合には工事ができなくなったりすることがあります。

工事前に説明会を開くことで、住民の不安や疑問を解消し、工事に関連する情報を共有することが可能です。これにより、後々のトラブルを防げるでしょう。地域住民との良好な関係を築くことで、工事がスムーズに進む環境を整えられます。


2.交通規制を最小化する

交通規制を最小化することも、住民からの苦情を防ぐために有効です。交通状況に応じた道路使用許可基準を運用し、工事の効率化を図ることが求められます。たとえば、別々に工事を行う場合よりも合同規制帯を設けることで、工事日数を大幅に減少させられます。

通常の現場では、規制帯ごとに300mの間隔を確保する必要がありますが、合同規制帯を利用することで、ひとつの規制帯で複数の工事を同時に進行させることが可能です。これにより、工事期間の短縮と交通規制の最小化を実現し、住民への影響を軽減することができます。


3.騒音や振動を抑える

工事現場で発生する騒音や振動は、対策を講じることである程度抑えることが可能です。以下の5つの対策を実施することで、騒音や振動を効果的に抑えられます。

  1. 重機の操作を慎重に行う
  2. 建設機械の動きを最小限にする
  3. 場内での大型車両の運転は最徐行とする
  4. 建設機械のアタッチメントを工夫する
  5. 防音シートや防音材を活用する

上記の対策を実施することで、騒音や振動を抑え、住民のストレスを軽減することが可能です。完全に騒音や振動をゼロにすることは難しいですが、「環境に配慮した工事をしている」と住民に理解を得られれば、信頼も勝ち取ることができます。


苦情対応の5つのステップ

苦情対応の5つのステップ

苦情対応のステップには、以下の5つが挙げられます。

  1. 意見や内容を傾聴する
  2. 当事者意識を忘れない
  3. 相手の立場に立って考える
  4. 社内で共有する
  5. 解決案を提案する

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.意見や内容を傾聴する

クレームが発生した際、最も重要なことは相手の話を真摯に聞くことです。どんな内容であっても、不満や苦情の内容を正確に把握するために、まずは話をしっかりと聞きましょう。

電話であれば適度な相槌を打ち、対面であれば頷いて話を聞く姿勢を示すことが大切です。これにより、相手の気持ちが落ち着く場合もあります。


2.当事者意識を忘れない

建設現場で働いていると、自分の担当部署以外からクレームを受けることもありますが、その際も現場の一員として当事者意識を持って対応することが重要です。

無関係な態度で話を聞くと相手に不快感を与え、クレームが長引く原因となります。自分の責任ではない場合でも、真摯に対応する姿勢を持ちましょう。


3.相手の立場に立って考える

クレーム対応においては、相手の立場に立って話を進めることが必要です。クレームの内容を確認し、相手が何を求めているのかを理解した上で対応策を考えましょう。

一見すると荒唐無稽な話をしているようでも、相手の立場に立つと正論を言っていた、というのはよくあることです。「怒っている」という感情とは別に、「現実に何が起きているのか」を整理して対応することで、適切な解決策を見つけやすくなります。


4.社内で共有する

クレームが発生した場合、一人で解決しようとせず、社内や現場の人々と共有・相談することが大切です。クレーム処理は精神的にも負担が大きい業務になるため、一人で抱え込むと辛い気持ちの行き場がなくなってしまいます。また、多くの人の意見を取り入れることで別の視点が生まれ、より良い対応策が見つかります。

クレーム対応の経験を社内で共有することで、今後のサービス向上につながります。クレーム対応の蓄積は、会社にとって貴重な財産となるでしょう。


5.解決案を提案する

クレーム対応では、謝罪や話を聞くだけでなく、具体的な解決策を提示することが求められます。相手が何を求めているのかを把握し、それに基づいた解決策を提案しましょう。

たとえば、「工事の音がうるさい」というクレームには、工事の時間を変更する、吸音材で囲う、防音カーテンで覆うなどの具合的な策が有効です。決してクレームの相手に我慢を強要したり、クレームの内容を無視したりしないでください。

クレームに対応したくないがあまり、その場しのぎの安易な対応は逆効果になることがあるため、慎重に対応することが重要です。


まとめ

まとめ

道路工事における苦情対応の重要性から苦情となる主な原因、事前対応から対処法まで解説しました。

苦情対応は、スムーズな道路工事計画において非常に重要です。工事現場周辺に住む住民の理解が得られなければ、工事は進みません。工事中のストレスを軽減し、良好な関係を築くことで、工事を円滑に進められます。

苦情を事前に防ぐためにも、騒音や振動を抑えるほか、地域住民とのコミュニケーションを図ったり、交通規制を最小化したりすることが重要です。

もしも苦情が発生した場合には、苦情対応の5つのステップにしたがって苦情に対応してください。

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