土木工事の主な種類は3つ|工事の例やほかの工事との違い、役立つ資格についても解説

土木工事の主な種類は3つ|工事の例やほかの工事との違い、役立つ資格についても解説

土木工事は、私たちの生活と密接に関わっています。どのような種類があるか、ご存知ですか?

この記事では、土木工事の主な3つの種類から、工事の例、ほかの工事との違いや土木工事関係者にとって役立つ資格を詳しく解説しています。土木工事に興味がある、または携わっている方は、ぜひ参考にしてください。


土木工事とは?

土木工事とは?

土木工事業は、建物以外の建設工事を指します。土木は建設分野の一部です。木材や土石を使用して私たちが生活に使っている橋や鉄道、道路などのインフラを整備します。さらに、空港やダムなどの公共施設の建設も土木工事に含まれます。

土木工事の範囲は広く、施工の設計や測量も重要な業務です。現場によっては、下水道の水道工事も土木工事に分類されます。土木工事は建物の基礎部分を構築することや、災害時に建物への被害を防ぐために重要です。これにより、人々の生活において必要不可欠な役割を果たしています。

この職業は、高い責任感を持ち、人々の生活を支える重要な仕事です。土木工事の専門家は正確さと技術力が求められる職人の世界で、社会の基盤を支えるために日々努力しています。


土木工事の主な種類は3つ

土木工事の主な種類は3つ

土木工事の主な種類には、以下の3つが挙げられます。

  1. 基礎工事
  2. 外構工事
  3. 造成工事

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.基礎工事

基礎工事は、建物の基盤を作るための工事です。「杭基礎」と「直接基礎」の2つに分類されます。

杭基礎は、軟弱な地盤で建設する際に杭を打って建物を支える方法です。直接基礎は、杭を使わずに直接地盤に基礎を造る方法で、以下の3種類があります。

ベタ基礎

基礎部分の全面をコンクリートで覆い、建物を面で支える

独立基礎

個別の柱を支えるための基礎

布基礎

連続した基礎で、長い建物や壁の基礎に用いる

直接基礎では、配筋工事や打設工事を行い、土台を作ります。ベタ基礎は、とくに建物全体をしっかり支えるためによく使用されます。


2.外構工事

外構工事は、建物以外の構造物を作る工事です。たとえば、排水工事や塗装工事、造園工事などが含まれます。外構工事には「先行工事」と「仕上げ外構工事」の2種類があります。

先行工事は建築前に行う工事で、土地の土台作りが目的です。建物の基礎を造る前に行い、盛土や土留めをして、建設する際の地面が雨で流れていかないようにします。

仕上げ外構工事は、建物の完成後に行う工事です。より快適な空間を作ることが目的になります。具体的には、建物の前にポストを設置したり、車庫を作ったりします。


3.造成工事

造成工事は、建築目的のために土留めや石積みをして土地を加工します。建設の準備段階として重要な工事になり、以下の3つの場合に必要です。

まずは、「土地に高低差がある場合」です。高低差がある土地は建築できないため、盛土をして表面を平らにする工事を施します。斜面に造る分譲地では、段差を付けて整える必要があります。

次に、「土地が変形している場合」です。変形している土地を四角に整えます。また、「地盤が弱くなっている場合」は、腐葉土などで地盤が弱い場合、腐葉土を取り除き、盛土をして地盤を強化する工事になります。

これらの工事は、建物の安全性や耐久性を確保するために欠かせない工事です。適切に行うことで長期にわたって建物を支える基盤が整います。


建設・建築工事との違い

建設・建築工事との違い

土木工事には、大きく分けて「建設工事」と「建築工事」があります。

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


建設工事

建設工事とは、土木や建築など、建設事業に関連する全般的な工事を指します。建設業法第2条によれば、「建設工事とは工事の完成を請け負う営業」と定義されています。この定義に基づき、建設工事の判断基準は「工事が完成するかどうか」です。

施設の点検や維持管理は建設工事には含まれませんが、土地に対して固定しているものを造ることや、一部を改造する業務は建設工事に該当します。


建築工事

建築工事とは、設計・調整・指導を行った上で建築物を建てる工事です。住宅やマンションの増築、改築、新築などが建築工事に分類されます。法律上、建物以外にも、住宅の敷地内に造る塀や門なども建築工事の一種とされています。

基本的に、地面上の建物全般を造ることを建築工事と判断して良いでしょう。


土木工事の主な例

土木工事の主な例

土木工事の主な例には、以下の5つが挙げられます。

  1. 道路・高架橋工事
  2. ダム・水道工事
  3. 農業・森林土木工事
  4. トンネル・空港建設工事
  5. 河川・海岸工事

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.道路・高架橋工事

道路工事は、新しい道路の開設や既存道路の修繕・改良を行う工事です。まず、土で作った路床に砕石を敷き、ローラーで踏み固め、その上を熱したアスファルトで覆って道路を造成します。さらに、標識やガードレールなどの道路に付随する設備の設置や交換も道路工事の一環です。

また、高架橋工事は川や海、地面の上に橋や高架を架ける工事です。一般的に、まず基礎部分を造り、その上に橋脚と橋桁を設置したあと、線路や道路といった橋の本体を造ります。高架橋工事には、メンテナンスや改築も含まれます。


2.ダム・水道工事

ダム工事は、貯水や水力発電に用いる「貯水池ダム」や、土砂災害防止を目的とする「砂防ダム」などを造る工事です。非常に大規模な工事であるため、ダム建設に先立ち、資材運搬や建設機械が入るための道路の造成が必要になります。

また、公道下の下水道工事は、公道の下に下水道を敷設する工事です。一般的には、まず舗装を機材で切断して道路を掘り下げ、下水管や汚水を本管に流すための排水桝を設置し、崩れないように土留めを行ったあとに再度舗装します。また、老朽化した下水道のメンテナンスも含まれます。


3.農業・森林土木工事

農業工事は、農地の保全や生産性向上を目的とした工事です。大きく分けて、「灌漑水道工事」と「農用造成工事」の2種類になります。灌漑水道工事では、農地に河川や地下水から水を引き、農用造成工事では、排水改良や区画整理、整地を行って農業に適した状態に土地を整えます。

森林土木工事は、森林道を整備し、土砂崩れの予防が目的の工事です。「林道工事」と「治山工事」に大別されます。林道工事では、森林を整備し、道路を造成します。治山工事では、森林を作る前段階として治山ダムの建設や山腹の補強、地滑り防止を行う工事です。


4.トンネル・空港建設工事

トンネル工事は、街中や山中、水の中などにトンネルを造る工事です。一般的には道路や鉄道のトンネルが思い浮かびますが、上下水道やガス管を設置するためのトンネルも含まれます。

トンネル工事の工法は大きく4種類に分けられ、場所や用途によって適した方法が用いられます。

工法

工事の特徴

工事場所

シールド工法

シールドマシンを使って掘り進め、同時にリング状の部品(セグメント)を組み合わせてトンネルの壁を作る

街、地面

開削工法

地面に大きな穴を掘り、その中にトンネルを設置または造成する

地下(地下鉄・地下街)

沈埋工法

箱のような建造物を作成して水中へ運搬、つなぎ合わせる

水中(河川、海底)

山岳工法

大きな機械や爆薬を使用して少しずつ山を崩しながら掘り進める。掘りながら周囲の壁をコンクリートや鉄骨で固めて補強する

山岳

また、空港工事は、空港の新設やメンテナンス、解体を行う工事です。新設の場合、造成工事や護岸工事を行い、建設地を整備したあと、建築工事や舗装工事を行います。メンテナンス工事は空港内のさまざまな施設や設備が対象となります。


5.河川・海岸工事

河川工事は、河川の氾濫による水害の防止・減災を目的とした工事です。具体的には、堤防の建設、河川の切削、水門の設置などが含まれます。また、上流では地滑り防止や砂防工事も行われ、河川の増水を防ぎます。

海岸工事は、高波や津波による災害や海岸の浸食を防ぐための海に特化した工事です。主な工事内容として、以下の項目があります。

  • 堤防の設置・修繕
  • 護岸工事
  • 人工的な浅瀬を作る(人工リーフ工事)
  • 養浜工事(浸食された海岸に砂浜を新たに造成する) など

上記の工事は潜水を伴う作業が多く、作業者には危険が伴います。


土木工事に役立つ資格

土木工事に役立つ資格

土木工事に役立つ資格を5つ、ご紹介します。

  1. 土木施工管理技師
  2. 技術士
  3. コンクリート技師
  4. 舗装施工監理技術者
  5. RCCM

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しくみていきましょう。


1.土木施工管理技師

土木施工管理技師は、土木工事の現場で監理や指導ができる能力を認定する国家資格です。この資格には1級と2級があり、1級を取得すると公共工事などの大規模な工事における責任者として「専任技術者」や「管理技術者」に従事できます。

受験には実務経験が必要であり、土木業の従事者が自分自身のキャリアアップのために取得するケースがほとんどです。


2.技術士

技術士は、高度な専門的応用能力を備えた技術者、つまり「技術コンサルタント」としての能力を有することを認定する国家資格です。

技術士は21の部門に分かれており、土木工事に関連するのは建設部門の技術士です。この資格を取得すると建設コンサルタントに登録できます。建設関連の資格の中で最高峰とされ、難易度も非常に高い資格です。

技術士補は、技術士の業務を補助する技術者で、同じく国家資格です。第一次検定合格者や特定の大学の課程を卒業した者が登録できます。


3.コンクリート技師

コンクリート技師は、コンクリートの技術的業務を実施する能力のある技術者を認定する資格です。この資格は、コンクリートの信頼性向上と建設産業の発展を目的として、公益社団法人日本コンクリート工学会が制定しました。

コンクリートは住宅や高層ビル、道路、橋梁などに広く使用され、社会基盤を形成する上で欠かせない資材です。コンクリート技師の資格取得者は、コンクリートの専門家として、土木業だけでなく建設業全体で求められる人材です。


4.舗装施工監理技術者

舗装施工監理技術者は、舗装工事に関わるとても高度な技術と能力を有することを評価する民間の資格です。

この資格は、一般社団法人日本道路建設業協会が開催している試験に合格することで取得できます。民間資格とはいえ、公的な舗装工事においては資格所有者が受注条件に含まれる場合も多いため、公共の工事や発注者支援業務に携わるうえで非常に重要な資格といえるでしょう。


5.RCCM

RCCM(Registered Civil Engineering Consulting Manager)は、建設コンサルタントに携わるために必要な資格です。一般社団法人建設コンサルタンツ協会によって創設され、建設コンサルタント業務を管理する技術者の育成と技術力の客観的評価を目的としています。

RCCMを受験するには、所定の実務経験を積んだ上で、試験(AとBの2種類)に合格する必要があります。資格を取得すると、建設コンサルタントとしての知識と能力が認められ、建設コンサルタント会社やゼネコン、サブコンへの転職時に役立ちます。

また、公的な土木設計業務の入札においてもこの資格は重要視されているため、大規模なインフラ工事に携わりたい方にはぜひ取得しておきたい資格です。


まとめ

まとめ

土木工事の主な3つの種類から、工事の例、ほかの工事との違いや土木工事関係者にとって役立つ資格を解説しました。

土木工事には「基礎工事」「外構工事」「造成工事」の3つの種類があり、それぞれにまた別々の工事があり、細かく分類されています。

街や都市のインフラを整備したり、修理やメンテナンスで安全を守ったり、土木工事は生活に欠かせません。土木工事は私たちの生活を豊かに、便利にしてくれています。土木工事には危険を伴う作業もあるため、ハイレベルな工事を行う際には資格取得者の存在が重要になってきます。

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